国産靴について

大塚製靴 Otsuka+ M5 についてのお話

日本最古の洋靴メーカーである大塚製靴。大塚製靴のイメージは明治天皇から宮内庁御用達ということもあり硬派なイメージがあります。革靴好きの間ではそれこそオーセンティックなハイエンドライン「Otsuka M5」が有名でしょうか。しかしながら、近年は普段歩き回るビジネスマンをターゲットにした「Otsuka+」という履き心地とビジネスシーンでの華やかさを重きを置いたシリーズをリリースしており、時代を追って常に進化をしているメーカーでもあります。今回の一足は前述したオーセンティックな「Otsuka M5」と、履き心地と華やかさを求めた「Otsuka+」を融合した「Otsuka+ M5」をご紹介させて頂きたいと思います。(なんだか遊戯王みたいな言い回し)

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500W内振り足なり

まずはじめに木型について。「Otsuka+(以下プラス)」の十八番、足なりに沿った内振り設計を採用。履き下ろしから痛みを伴うリスクは低く一日中快適かつ、歩行をサポートしてくれるあおり歩行を体感できます。

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500W正面

正面はぱっと見普遍的な内羽根ストレートチップ。全体の印象は「Otsuka M5(以下M5)」に寄せてノーズを短めに設計されたようです。最近のクラシック回帰の流れを汲んでいますね。

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500W出し縫いピッチ

出し縫いのピッチはM5では3センチの中に約12針で縫われていますが、こちらは3センチの中に約16針とさらに細かいピッチ。「3センチの中に約12針」というのは大塚製靴さん公式から引用させていただいた一文ですが、なぜ「1センチで約4針」と言い表さないのかと疑問に思った方も多い筈。実はこれ日本古来の測量単位「寸」を「センチ」に換算した数値。つまり「1寸=約3センチ」。長らく日本で製靴されている職人さんの間では使用されていた故、伝統と誇りを暗示した言い回しといえます。このピッチ幅は機械縫いの限界ギリギリかと思います。オールソールする際は、ウェルトに空いた穴通りに縫い直していかなくてはいけないこと、かつウェルトの耐久性も低くなりがちな為、修理人泣かせではあります。ピッチ幅が狭いと無骨さはなくなりよりエレガントな表情になります。

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500W矢筈

コバは日本発祥とされる矢筈仕上げ。弓矢の矢羽根のような仕上がりです。技術もさながら、矢筈がけ用のコテ自体もきれいに加工調整されたものでないとこの仕上がりは出せません。

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500Wピッチドヒール

踵はテーパードがかったピッチドヒール。絞られたヒールカップを更に強調できますね。

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500Wフィドルバック

ソールは立体感を演出しウエストをより絞るよう見せるフィドルバック。名称の由来は「バイオリンの背中」という意味だそうですが、言われてみたば確かにバイオリンの背面ってそういう形していますね。余談ですが私、幼少の頃バイオリンを習ったことがあるのですが、周囲と比べあまりの進歩の無さに一瞬でやめさせられました^^;

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500Wパンチング

通常の内羽根ストレートチップですとステッチが入ってますが、よく見るとこちらはパンチングにしてちょっとした遊び心を出しています。遊び心はこんなところにも...

大塚製靴Otsuka+M5ストレートチップ500Wライニングパーフォレーション

なんとライニングの切り返しにしっかりとパーフォレーションが施されています。私もライニングに施された靴は初めて見ました。脱いでもこんなにお洒落って粋ですね。プラスでもこの施しあるのか確認できなかったので、プラスM5にて初の試みでしょうか。

このように細部にまで意図を持ち、こだわって作り上げらられた「Otsuka+ M5」。今回当店に未使用品が1点入荷いたしました。...と言いたい所でしたがなんとここまで執筆している最中に、SOLD OUTとなってしまいました。。

大塚製靴 Otsuka+ M5 ストレートチップ 500W サイズ25.5EEE

大塚製靴 Otsuka+ M5 ストレートチップ 500W サイズ25.5EEE (sold out)

出回ることが滅多にない一足ですので次回入荷できるかどうか怪しいですが、なんとか手に入れれるよう買い付けに精進致します。大塚製靴に関する記事はこちらもございます。お時間あればご一読下さいませ。

コメント