パラブーツリアルファーシリーズを紐解く。フォック・ミンク・ラビット・ポニーなど
パラブーツの中でも愛くるしい表情と季節感のある足元を演出できることから、男女問わず人気を博しているリアルファーシリーズ。今まで意外と比較されてこなかった各リアルファーの特徴を解説していこうと思います。今回は動画での内容に準拠した、ご説明となっています。
モデルのベースは主に2型、「ミカエル」と「ランス」
現行としては主に2型が主流展開になっています。稀にUチップのシャンボードやプレーントゥのデザインなどで、全面にリアルファーを用いたモデルのありますが、極稀になります。
MICHAEL(ミカエル)の概要
1945年パラブーツのモジーンというモデルをベースに、エルメスがパラブーツへOEM依頼したのて生産したのが始まりです。名前の由来はパラブーツ創業者の孫(今のパラブーツの会長)であるミッシェル・リチャード氏のラテン読み。
山岳を歩くチロリアンシューズをベースにしてシティユースに落とし込んだお品です。パラブーツの中でも1,2を争う定番人気商品。
REIMS(ランス)の概要
先述のミカエルのローファーモデルとして1986年にデビュー。定番人気のラインナップの中では比較的近年誕生したモデルです。
厚めのソールであることから、紐のないローファーでも踵が脱げ易くならない対策として履き口の部分を深く、角度をつけて仕上げられています。1995年に生産を中止したものの、多くのカスタマーからの要望もあって2009年に復活して以降パラブーツの主力商品となっています。
リアルファー各種の特徴
パラブーツのリアルファーには様々バリエーションがあります。使用される動物の毛によって硬さや質感、個体差は大きく変わります。
中には元々主力だったものなのに訳あって廃盤になったり、現行の品物でも取り扱われなくなる噂のある品物まで様々。主にリリースの多いの4点をご紹介していきます。
フォック(アザラシ毛)の特徴
- 毛先は硬め
- 暖かさはそこまで、その分シーズンは幅広く使用可能
- 色味も白から茶混じり、斑模様など個体差大きめ
今では幻と言われているリアルファーです。長年主力パラブーツのリアルファーと2009年条約の規制がかかり、おおよそ2013年頃を境にストックも尽きたとされれています。
2018年にレディースモデルのみパラブーツ札幌店で限定リリースされたものの、たまたまパーツのストックが見つかったものを放出しただけで以降公式からリリースは一切ありません。
質感としてはツンツンとした硬めの毛先です。保温性に関しては後述の毛と比べるとそこまで高くないですが、その分秋〜春先まで使用しやすく、アザラシの毛であのあることからも分かる通り、水辺にも強いので梅雨時期も使用可能です。
個体に関しては色味のばらつきも非常に多く、真っ白なものから茶混じり、斑模様まで様々です。左右で模様が異なったりもします。
ヴィジョン(ミンク毛)の特徴
- 適度なコシのある長めの毛先
- 保温効果は非常に優秀、冬場メイン
- 色味は黒混じりのグレーが多い
今最も廃盤の可能性が高い、既に廃盤となったと噂のあるリアルファーです。このあたりの情報が錯綜しているところもあるので断言はできませんが、国内正規品を取り扱うショップでも取り扱いが減少していることは実感します。
質感は先述のフォックと比べるとそこまでの毛先の硬さはなく、適度にコシのある感触でしょうか。ミンクファーは首元に巻くイメージもあるかと思いますが、首に巻いても不快感のない硬さです。
保温性はとても高く、冬場の冷える足元には非常に有効です。温かい時期は汗ばんでしまうぐらいの暖かさです。
色味は毛の根本は黒、毛先にかけてはグレーと所謂ダブルコート毛質のものが大半を占めます。稀に茶混じりのものもありますが、基本的にはこの色味と思って頂いていいかと思います。
ラパン(ラビット毛)の特徴
- 非常にソフトな毛質
- 多方向に毛先のボリュームが広がるイメージ
- 色味はベージュ系または単色黒
パラブーツの取り扱う中では最もソフト、モコモコとした質感が持ち味です。
毛の長さ自体は今回紹介する毛の中では個体にもよりますが中間的(約1cmぐらい)なものが多い印象ですが、フォックやミカエルのように全て下方向に毛先が向いていくのではなく、多方向に毛先が伸びるような形です。タンの部分が最もわかりやすいかと思います。
こちらはショップの別注などでもレディースモデルの展開が多く、柔らかな印象から女性からの支持も高いことが頷けます。
ポニー(子馬毛)の特徴
- 毛足がとても短い
- 保温性は低いが通年を通して扱いやすい
- 色味はオフホワイトとベージュの斑模様が大半
フォックが廃盤になってから、いち早くリリースされたのがこのポニーだったと記憶しています(間違えてたら申し訳ありません)。ただ最近は別注モデルなどもチェックしていますがまり展開していない気がします。
毛足はパラブーツのリアルファーの中では最も短いですが、色味も相まって比較的柔らかな表情が多いでしょうか。保温効果はあまりないですが、その分通年を通して履きやすいいかなと思います。
色味で多いのはオフホワイトとベージュが細かく斑に混ざったような個体が多いでしょうか。グレーやブラックもありますが流通量は少ないと感じます。
パッと見はコンビシューズのようにも見えるので、その点リアルファーのボリューム感があまり得意でない方にも親しみやすいですね。
その他のリアルファー
上記の4点以外にも最近リリースされたムートン(羊毛)やアッパー全身を覆う展開の多いハラコなどもありますが、主要どころはこの4点が大きく占めています。
ムートンに関しては最近のリリースということもあり今後力を入れて展開していく可能性もあります。ですのですぐの廃盤ということはないと思いますが、昨今のビックメゾン系のリアルファーに対する厳しい風当たりを見ると今後どうなるかは不透明です。
次回コーディネート編
今回はここまで。同じリアルファーでもそれぞれ個性がって、どれから入手してもたのしんで頂けると思います。
次回はそんなリアルファーモデルを交えたコーディネート方法を例を上げてご紹介していきたいと思います。私物も交えてご紹介していきたいと思いますのでお楽しみに。
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